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「みかた式音素法」によるローマ字指導とは
みかた式音素法によるローマ字指導のきっかけ
2017年夏、小学校3年生の男の子さんのお母さんからご相談を受けました。自分で書いた連絡帳の文字が読めないほどの書字の苦手さや漢字が覚えられないということでした。
早速、KABCーⅡやWAVESなどのアセスメントを実施しました。
予想通り、典型的なLDのタイプの結果が出ました。
文字を書くのは、視覚認知だけではなく、表出のためには指先の巧緻性も必要です。
そのどちらも、弱みが見られました。
将来のことを描いたら、鉛筆での書字をトレーニングするよりもパソコン入力ができるようになることをめざすことにしました。ご自宅には、タブレットではなくノートパソコンがあったからです。
ノートパソコンの入力には、ローマ字入力を敢えて選びました。
私が、2014年から始めていた、「発音絵記号」を用いた英語のフォニックス指導を応用して、ローマ字を習得させることができると予想できていたからです。
3年生の冬休みから指導を開始しました。
指導開始前の2学期には、学校でローマ字学習をしていましたが、2文字しか習得できていませんでした。
お母さんは、「ひらがなの習得にも苦労していたので、ローマ字は諦める。」と言っておられました。が、それまで英語の読み書きが苦手な中学生とのかかわりを通して、
- 「発音絵記号」を用いると、アルファベットの音素を簡単に習得できる
- 子音と母音のブレンディングによって、ローマ字の音節を習得できる
と、確信していましたので、小学生のローマ字指導に上記の方法を、初めて用いてみることにしました。
指導をしてみると、私の予想通り、「発音絵記号」付き小文字を用いて、ローマ字をあっという間に習得できました。
書きが苦手なLD児へのパソコンローマ字入力の指導の様子
この子供さんの事例は、2019年夏、日本K-ABCアセスメント学会の研究発表「書きが苦手なLD児へのパソコンローマ字入力の指導~視覚的有意味刺激の強みと子音と母音のブレンディングを活用して~」で報告させていただきました。
その際の、発表用資料を抜粋・修正・加筆したものを以下にPDFファイルとして掲載しておりますので、参考にしてください。
また、日本LD学会第28回大会(東京)の自主シンポジウム「日本語の読み書きにつまずく児童・生徒への英単語読み書き指導」での事例発表のときにも、「発音絵記号」を活かしてアルファベットの小文字の音素を習得したり、子音と母音をブレンディングしている様子は、この子供さんの指導場面の録画で報告させて貰いました。
2022年、「発音絵記号」を用いてアルファベットの音素を習得すること、子音と母音をブレンディングすることによってローマ字の音節を作るローマ字指導を「みかた式音素法」と名付けました。
現在、「発音絵記号」は、指導を重ねる中で、小中学生に一般的になじみのある語に定着してきたものを使用しています。
「発音絵記号」もかわいらしいイラストを描いてもらい、製品としてまもなく完成する段階になりました。
デコーディングが苦手で、ローマ字習得に苦戦している小学生さんに出会うと、「みかた式音素法」でローマ字指導をしています。
そして、できるだけ早く、英語のフォニックス指導へと入って行きます。